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あらすじ

宮城県南三陸町の海沿いに位置する80戸余りの小さな漁村「波伝谷(はでんや)」。

 

そこには豊かな海と山があり、人びとは牡蠣・ホヤ・ワカメなどの養殖と丘陵地での農業を営み、暮らしていた。

 

共同の牡蠣剥き場で明け方から作業をする女たち。

収穫まで3年かかるホヤの生育を祈りながら黙々と海辺に通う男たち。

 

そこには、自然の豊かさと厳しさに寄り添いながら、地域に残る「結い」や「講」といったシステムを悩みつつ継承し、日々の暮らしを懸命に生きる「普通の」人びとがいた。

 

2008年3月、そんな波伝谷にカメラを持った一人の若者がやってくる。

 

はじめ、大学の研究のために波伝谷を訪れた彼は、地域住民総出で行われる獅子舞の行事に心を奪われ、そのエネルギーの源泉に触れようと一人で波伝谷に通い続ける。そのカメラにおさめた映像を、やがて映画にするために。

 

それから3年後の、2011年3月11日

 

その日彼は、翌日予定されていた地域の会合で映画の試写会の日取りを決めようと、波伝谷に向かった。

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